
Pythonでスクリプトを実行していると、自動的に生成される「pycache」という名前のフォルダを見かけたことはありませんか?
このフォルダは一見すると不要に思えるかもしれませんが、Pythonの実行速度を高めるために非常に重要な役割を果たしています。
この記事では、pycache の基本的な意味や仕組み、初心者が知っておきたい注意点までをわかりやすく丁寧に解説します。
pycache とは?
pycache は、Python がソースコード(.pyファイル)を実行するときに、自動的に作成するキャッシュ用のディレクトリです。
この中には「コンパイル済み」の .pyc
ファイルが保存されます。
Pythonはインタプリタ型言語ですが、実行前にソースコードを一度バイトコードに変換します。
このバイトコードが .pyc
ファイルとして保存され、次回の実行時にはそれを再利用することで実行速度を高めています。
たとえば、sample.py
というスクリプトを実行すると、次のようなファイルが生成されます:
1 2 3 |
__pycache__/ └── sample.cpython-311.pyc |
cpython-311
の部分は、使用しているPythonの実装(CPython)とバージョン(3.11)を表しています。
pycache の仕組みと目的
Pythonの処理速度向上のため、.pyファイルを実行するたびに毎回バイトコードへコンパイルするのは非効率です。
そこで一度コンパイルされたバイトコードを .pyc
ファイルとして保存しておき、ソースファイルが変更されていなければ、それを再利用することで高速な実行を可能にしています。
簡単に言えば:
- 初回実行:
.py
→.pyc
に変換して実行 - 次回以降:
.py
が変更されていなければ.pyc
を直接使って実行
この .pyc
ファイルは pycache フォルダに保存され、プロジェクトのルートディレクトリや同じフォルダ内に配置されます。
よくある疑問
pycache の中身を削除してもいいの?
基本的に削除しても問題ありません。
削除した場合、次回の実行時に自動で再生成されます。
ただし、以下のようなケースでは注意が必要です:
- 大規模なコードベースでは削除後の再コンパイルに時間がかかる場合があります
- デプロイ時に不要ファイルとして除外しておきたい場合(特にGitで管理している場合)
Gitを使っている場合は .gitignore
に次のように書いておくと便利です:
1 2 |
__pycache__/ |
これにより、キャッシュファイルをバージョン管理から除外できます。
pycファイルを直接実行することはできる?
.pyc
ファイルは中間ファイルであり、基本的には直接操作することを想定していません。
ただし、Pythonで次のようにすれば直接実行することも可能です:
1 2 |
python sample.pyc |
ただし、この方法はあまり一般的ではなく、通常は .py
を直接実行すべきです。
注意点:キャッシュのバージョン不整合に注意
まれに、Pythonのバージョンを変更した際に古い .pyc
ファイルが残っているとエラーの原因になることがあります。
そのような場合は pycache を一度削除してから再実行すると解決します。
また、同じ .py
ファイルでも、異なるPythonバージョンで .pyc
が再生成されるため、異なる環境を切り替える際は注意しましょう。
まとめ
今回はPythonの pycache フォルダについて詳しく解説しました。
- pycache は Python のバイトコード(.pycファイル)を保存するキャッシュ用フォルダ
- 実行速度を高めるために自動生成される
- 削除しても問題はなく、必要なら再生成される
- Gitなどではバージョン管理から除外するのが一般的
- Pythonのバージョン切り替え時には一度削除するのが安全
仕組みを理解すれば、安心してプロジェクト管理や実行環境の整備ができるようになります。